#07 全天候型を実現したブーツ「ボグス」の歴史
ボグス看板

2024.1.17

全天候型を実現したブーツ「ボグス」の歴史

佐藤 誠二朗さんメンズファッション誌
「smart」元編集長
佐藤 誠二朗さん

メンズ雑誌「smart」をはじめ、これまで多数の編集・著作物を手掛けている佐藤さん。
2018年11月には「ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新」が発売。
こちらを本屋で見かけて読まれた方もいるのでは!?
そんな佐藤さんが当店の取り扱いアイテムをコラムで熱く語ってくれるコーナーです!
実はあまり知られていないブランドの歴史などもこれを見れば知ることができるかも!?

難しい“全天候型”を実現したブーツ

BOGSは、2002年にアメリカのオレゴン州で設立されたシューズブランド。
創業者のビル・コームは、ブランド設立に先立つ40年以上にわたり、靴産業に従事した経験を持っていました。
彼は、当地で農業や園芸作業をする人たちが、既存のものよりもっと快適でもっと耐久性のある防水ブーツを求めていると感じ、BOGSを立ち上げます。

ビルの地元であるオレゴンは、湿度が高く天候が変わりやすい土地柄。そのため、急な雨に見舞われて靴が濡れ、不快な思いをしながら作業している人が多かったといいます。
そこでビルは、晴れの日も雨の日も雪の日も快適に履ける、全天候型ブーツを作ることを志します。
既存のブーツは防水性に難があったり、完璧に水は防いでも蒸れて快適性に欠けたり、防水性と通気性は抜群でも保温性がなかったりしたので、そのすべてを同時に成立させるという難しい目標を立てたのです。

そしてビルは、独自の技術と素材の開発に勤しみ、特殊な合成ゴムを使用することで、それを実現させます。
彼が新開発したブーツは完璧な防水性を保ちつつ、内部に通気性のある素材を使用することで、蒸れることなく快適に履けるものでした。

BOGSの最初の製品は「クラシック・ハイ」と名付けられます。
それは当初の計画通り、農業や園芸作業をする人を顧客に想定したラバーブーツ。防水性と快適性、さらには、もっとも厳しい真冬の天候にも耐えられるように作られた、断熱性も併せ持つ。それが「クラシック・ハイ」のセールスポイントでした。

このBOGSの初製品は、消費者のニーズを見事に捉えていたため、期待以上のセールスを記録。新進ブランドとしては非常に幸先の良いスタートを切ることができました。
ブランドの知名度もスタートダッシュで急上昇し、「クラシック・ハイ」は農業や園芸作業の従事者だけではなく、アウトドア愛好家や冒険家からも支持されるようになります。

それもそのはずで、ビルをはじめとするBOGSのメンバーは「クラシック・ハイ」を世に送り出すにあたり、南極の氷の上、アラスカの釣り場、膝まで埋まってしまう泥や雪の中などでテストを繰り返し、自分たちの製品がハイレベルの性能を持っていることを確認したといいます。
「クラシック・ハイ」の成功で勢いづいたBOGSは、短期間のうちにさまざまなスタイルとデザインの防水ブーツを開発、市場での存在感を高めていきました。

ボグス①
photo:master1305/iStock

BOGSへとつながる“ゴム長靴”の歴史

そして現在のBOGSは世界中に販売網を持ち、アウトドア活動や日常の使用に適したさまざまなブーツやシューズを提供しています。
ユーザーは年々増加していて、近年ではBOGSのブーツこそが“伝統的な長靴の優れた代替品”とまで目されるようになりつつあります。

ちょっと脇道にそれますが、BOGSのブーツに取って代わられつつあるかもしれない“伝統的な長靴”とは、どういうものでしょうか?
その歴史も紐解いてみましょう。

現在のいわゆるゴム長靴の起源は、19世紀にイギリスで広まった“ウェリントンブーツ”だとされています。
ウェリントンブーツは、膝丈の革製乗馬用ブーツ。主にイギリス軍の軍靴として用いられたもので、その名称はワーテルローの戦い(1815年)でナポレオン1世を破ったイギリスのウェリントン公爵、アーサー・ウェルズリー将軍(ウェリントン公)にちなんだものです。

ウェリントン公は、乗馬時の騎兵に脛の負傷が多いことから、丈の長い乗馬靴の作成を発案。ロンドンの名高い靴職人に発注し、ヘッセンブーツという18世紀から使われてた房飾り付き軍用長靴をベースにした最初のウェリントンブーツを作成します。
ウェリントン公の戦地での活躍もあり、ウェリントンブーツは当時の英国紳士の間で、流行したといいます。

その後、ウェリントンブーツは改良され、1852年には防水性能を向上させたゴム製のものが作られ一般に普及。
当時、イギリス国民の大半は農民や牧民で、ぬかるんだ場所でも木靴を履いて作業を行っていました。そのため、ゴム製ウェリントンブーツは爆発的なヒットとなったそうです。

第一次世界大戦(1914−1918)でイギリス軍は、ヨーロッパのぬかるんだ塹壕での戦闘を余儀なくされました。
ザ・ノース・ブリティッシュ・ラバー・カンパニー(現在のハンター社)が大量のウェリントンブーツの製造を受注。軍の要求に応えるため工場を昼夜作動させ、118万足あまりのウェリントンブーツを作成します。
また、ハンター社は第二次世界大戦(1939−1945)でも、イギリス軍に大量のウェリントンブーツを納品。戦後は一般配給されるようになったため作業用に使う者も増え、ウェリントンブーツ=ゴム長靴は家庭の必需品になっていきます。

伝統的な長靴とは、こうした長い歴史を持つ履き物。
ウェリントンブーツに端を発したその伝統を引き継ぎ、BOGSのブーツは新たなスタンダードになろうとしているのかもしれません。

ボグス②
photo:Ashley Van Haeften/flickr

普段履きもできる高性能ブーツ&シューズ

それではそんなBOGSの製品群から、オススメアイテムを3つ紹介したいと思います。

まずは、普段履きもしやすいサイドゴアタイプのレインブーツ、「ARCATA URBAN CHELSEA」です。

【ボグス ARCATA URBAN CHELSEA】
【ボグス ARCATA CHELSEA CAMO】

シンプルで洗練されたな外観のミドル丈ブーツですが、環境に優しい藻類ベースのEVAフットベッドと耐久性に優れたラバーを採用していて、100%の防水性が保証された実用的な長靴です。
ライニングに使用されているデュラフレッシュ(DURAFRESH)とは、バイオテクノロジーにより抗菌・防臭効果を発揮する特殊素材。
そのうえに高い保温性能を持ち、マイナス30℃の環境でもバッチリ暖かさをキープしてくれます。

考えてみてください。あなたはマイナス30℃以下の場所に身を置くことことがあるでしょうか?
つまり日本の大多数の人にとっては、いかにも長靴という見た目ではなく、日常のファッションに違和感なく取り入れられるこの「ARCATA URBAN CHELSEA」でも、防寒については完璧に事足りるということなのです。

「ARCATA URBAN CHELSEA」はサイドゴア風のおしゃれなチェルシーブーツながら、日常起こりうる悪天候すべてに対抗できる優れもの。
高耐久ラバーで成型されているため厳しい気候に対抗可能で、除湿性と快適性も兼ね備えています。

次に、BOGSというブランドの懐の深さを示すアイテムも紹介しましょう。
ワンマイルのお出掛けから気軽に履ける、モックタイプのスノーシューズ「B-モックスライド」です。

【ボグス B-MOC ショートブーツ】
【ボグス B-モックスライド】
【ボグス B-モック ハイ】

アッパーのキルティングデザインがおしゃれな雰囲気を醸し出していますが、こちら、機能性に優れた歴としたスノーシューズです。
抜群のグリップ力と抜群のクッショニング性を持つ、雪面でも滑りにくいリバウンドソールを採用。
かかとを踏めばサンダル感覚で使うことができるので、本当に気軽なシューズですが、足の疲れを軽減し、冷えやすい雪のシーズンも快適な履き心地を提供してくれます。
タウンユースはもちろん脱ぎ履きしやすいのでキャンプなどのシーンでも大活躍。
そのうえムレにくく、優れた保温性能も持っています。

ライニングには「ARCATA URBAN CHELSEA」と同様、特殊素材のデュラフレッシュ(DURAFRESH)を採用。
ソールは考え抜かれた成形により、高いグリップ力を持ち、雪道でも濡れた路面でも滑りにくい安全な歩行を提供します。

ボグス③
photo:okugawa/iStock

ファーストモデルの正統進化版

そしてラストはBOGSのマスターピースである「クラシック・ハイ」の正統進化版、「ボーズマントール」です。

【ボグス ボーズマントール】

「ボーズマントール」は汚れに強く、防水性・耐久性にも優れたロングブーツ。
第三者機関の24時間浸水検査もパスし、雨や雪でも安心して履ける、完全防水仕様になっています。
「ボーズマントール」のさらに特筆すべき点は、非常に高い保温性能をもっているところです。
特殊素材が織りなす独自の構造が絶大な効果を発揮し、驚くべきことに理論値でマイナス324℃でも暖かさをキープしてくれるそうです。

実際のところ、マイナス324℃なんていう環境は地球上にありませんので、このブーツさえあれば南極だろうと北極だろうと怖くないということになります。
また、「ボーズマントール」は非常に軽量であるにもかかわらず、耐久性の高さも折り紙付き。
頑丈に作られたアウトソールは濡れた地面や氷の上でも滑りにくく、また軽量素材を使用したアッパーにより、快適な履き心地も保証されています。

デザイン面では履き口に施された穴がアクセント。
この穴は、履くときの取っ手の役割も果たします。

肌に触れるところは柔らかく暖かい、保温性の高いライニングを採用。細菌の繁殖も防ぎます。
ソールには衝撃吸収素材を内蔵し、足を優しくサポート。疲労を軽減する効果も持っています。

まだまだ書き足りないですが、今日のところはこのくらいにしておきましょう。
とにかく高性能でデザインも抜群な優等生ブーツ。それが「ボーズマントール」なのです。

駆け足で紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
BOGSにはここで特に取り上げたおすすめ3モデル以外にも、たくさんの高機能でおしゃれなブーツ&シューズが揃えられています。
この機会に新しいスタンダードな長靴を、是非ゲットしてみてください。

【ボグス スノーデイ ロー】
【ボグス B パフィー ミッド】
【ボグス スノーデイ ミッド】
【ボグス DIGGER MID】
【ボグス SAUVIE SLIP ON】
【ボグス CLASSIC MID】
ボグス④
photo:staphy/iStock

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