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2020.05.28

NEW BALANCE 574 / 996

メンズファッション誌
「smart」元編集長
佐藤 誠二朗さん

メンズ雑誌「smart」をはじめ、これまで多数の編集・著作物を手掛けている佐藤さん。
2018年11月には「ストリート・トラッド 〜メンズファッションは温故知新」が発売。
こちらを本屋で見かけて読まれた方もいるのでは!?
そんな佐藤さんが当店の取り扱いアイテムをコラムで熱く語ってくれるコーナーです!
実はあまり知られていないブランドの歴史などもこれを見れば知ることができるかも!?

矯正用インソールからスタート

アメリカのマサチューセッツ州ボストンに拠点を置くニューバランス。
非常に現代的なスニーカーブランドなので、新興メーカーのように思っている人もいるかもしれませんが、創業はアディダス(創業1949年)やナイキ(同1964年)、プーマ(同1948年)、アシックス(同1977年)、ヴァンズ(同1966年)なんかよりもずっと古い1906年。
1世紀以上もの長い歴史を持つブランドなのです。

もっとも、創業当初のニューバランスはスニーカーブランドではありませんでした。 イギリスからの移民だったウィリアム・J・ライリーという人物が、ニワトリの足の爪の形にヒントを得て開発したアーチサポートインソール、つまり足に問題がある人のための矯正用中敷を製造するメーカーとして開業した会社だったのです。
当時の社名は、“ニューバランス・アーチ”だったそうです。

同社はその後、インソール製造技術をベースに矯正用のシューズを開発します。そして1930年代には、カスタムメイドのランニングシューズの製造をスタート。そこから現在のスニーカーブランドとしての道のりがはじまったというわけです。

ニューバランスのスニーカーのモデルはすべて、番号で分類されていることは有名です。今回ご紹介するML574を含む500番台シリーズは、砂利道などコンディションの悪いオフロードでのランニングを想定して開発されたもの。
そのため、ややゴツゴツした太めのシルエットで、クッション性が高く履き心地には安定感があります。
1982年に誕生した555というモデルがシリーズの元祖で、その後、1987年に575、1988年に576、そして576をベースに90年代には574と、新しいモデルが追加されていきました。
中でも後発の574はタウンユースにも使えるように設計されたモデルで、価格も安く、老若男女が履ける超定番モデルとして高い人気を誇っています。

ポッテリと丸みを帯びたフォルムは、いかにもニューバランススニーカーという見た目で、ブランドを象徴するようなモデルであると言ってもいいでしょう。

ニューバランスについて

コスパが良くて安定感がある574

574にはいくつかのバリエーションがあります。
価格が安く、丸みのあるシルエットで、安定感重視な履き心地のML574。
フィット感、クッション性に優れたスポーツモデルのMS574。
ML574とほぼ同じ作りではあるものの、メイド・イン・USAのため高額でマニア好みのUS574。
一番コスパが良くて安定感があり、タウンユースに最適なのがML574と言っていいでしょう。

それでは、もう少し詳しく574の特徴を知るために、ニューバランスのもうひとつのトップセラーモデル、型番996と比較してみることにしましょう。
1988年に登場した996も、「これしか履かない」と断言する熱狂的信者がいるほどの大人気モデルです。

まずシルエットですが、574は前述のようにポッテリとした丸めの形。対する996も全体的にはニューバランスらしい丸めの形ながら、574よりはシャープなフォルムです。
横から見たときの縦方向の長さ、つまり背丈も574のほうが高めです。
上から見たときの履き口の比較でも、574は996より丸みを帯びています。

500番台シリーズと同じ1982年に投入された900番台シリーズは、オフロードでの使用を想定した500番台とは違い、オンロードでのランニングを想定したスニーカー。そのため、よりシャープでスピード感のあるスマートなフォルムをしているというわけです。

タウンユースに使うのであれば、その機能性よりもフォルムの好みが優先されるのかもしれません。
丸みを帯びたスタイルを選ぶかシャープなスタイルを選ぶかは人それぞれの好みでしょうが、そのフォルムの裏には、各々の型番が持つ元来の目的があるという事実は知っておいて損はないのではないかと思います。

ニューバランス 574

6,590

6,570

6,980

6,040

入り口であり到達点でもあるド定番

もう少し、574と996の比較を続けましょう。
細かく見ていけば、ディテールには数多くの違いがあってキリがないので、大きな差についてのみピックアップすると、次に言及すべきはアウトソール部分です。

574は凸凹が目立つソールであるのに対し、996はフラットになっています。これも500番台と900番台それぞれの元来の目的を考えれば、うなずける仕様の相違です。
車に例えると574のソールは、グリップ力に優れたオフロードタイヤ。996はスポーツカーが履いているタイヤのようなもので、グリップ力よりも軽さやクッション性を重視し、長時間走っても疲れにくいようになっているのです。

ソールについてより詳しく見てみると、574にも996にもENCAPミッドソールというものが施されています。EVA素材(樹脂)とポリウレタンをサンドしたENCAPソールは、衝撃吸収能力に優れ、ふわりとした軽さに加え、ハイレベルの安定性とクッション性を実現するものと高い評価を受けています。

カラーバリエーションは、996はブラック系やベージュ系などのベーシックカラーが多く、574には明るくポップなカラーが多いことで知られています。
996がストイックなスポーツ用、574はタウンユース寄りのファッション性を重視したモデルであることの証でしょう。

ニューバランスを象徴するディテールは、サイド部分に施された「N」のマーク。このマークは、モデルによって大きいものと小さいものがあり、90年台後半より以前のモデルは大きなもの、それより後のモデルは小さなものが中心になっています。
996とともに574は大きな「N」マークが施されています。
ニューバランスらしさをしっかり味わえるデザインと言えるでしょう。

とにかくコスパが良くて性能も抜群、デザイン性にも定評のある574は、ニューバランスの入り口でもあり最終到達点でもあるド定番。
どんなスタイルにも合わせやすく、長く履き続けることができるモデルなので、ぜひ一足は持っておきたいものです。

ニューバランス 574と996の比較

9,470

6,880

20,490

3,800

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