#27 野球ファン必見!ローリングスの歴史と選手たちのストーリー
ローリングス看板

2024.7.31

野球ファン必見!ローリングスの歴史と選手たちのストーリー

佐藤 誠二朗さんメンズファッション誌
「smart」元編集長
佐藤 誠二朗さん

メンズ雑誌「smart」をはじめ、これまで多数の編集・著作物を手掛けている佐藤さん。
2018年11月には「ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新」が発売。
こちらを本屋で見かけて読まれた方もいるのでは!?
そんな佐藤さんが当店の取り扱いアイテムをコラムで熱く語ってくれるコーナーです!
実はあまり知られていないブランドの歴史などもこれを見れば知ることができるかも!?

世界最古の野球用品メーカー

プロ野球のペナントレースもたけなわ。
甲子園では猛暑のなか熱戦が繰り広げられ、海の向こうでは大谷翔平をはじめとする日本人選手が大活躍しています。
そうした姿に触発されたのか、最近、野球がしたくてたまりません。
私は、リトルリーグや部活で本格的に野球をやった経験はありませんが、小中学校の頃の放課後の遊びといえば、近所の広場での野球がデフォルトだった世代。
今も体の奥底に“野球欲”のようなものが残っていて、それがときどき疼きだすのです。

とはいえ今は何も道具を持っていないので、キャッチボールからやるとしてもグローブとボールの入手から始めなければなりません。
そして私くらいの大人になると、まずは形から入るもの。小学生じゃないんだからありきたりのメーカーではなく(ありきたりにはありきたりなりの良さはありますが)、何かちょっと小洒落ていて、しっかり蘊蓄のある野球ブランドはないかなと思っていたら、ありました!
それが今回ご紹介するローリングスです。

ローリングス(Rawlings)とは、1887年にアメリカのミズーリ州セントルイスで創業された、世界最古の野球用品メーカーです。
1887年とは、日本の年号でいえば明治20年。
ものすごく歴史があるメーカーと言えますが、アメリカのメジャーリーグベースボール(MLB)はもっと前の1876年にスタートしているので、野球がいかに歴史が長く、またずっと人気を保っているスポーツであるかということが伺えます。

ちなみに野球は1830年代から1840年代にその原型が成立し、まずはアメリカ北部で盛んになります。その後、南北戦争(1861〜1865年)を機に南部にも広がってアメリカ全土で人気を博すようになり、メジャーリーグの設立に至ったのだそうです。

ローリングスの創業者は、ジョージ・ハフとアルフレッド・ハフという兄弟。
彼らは最初、スポーツ用品店として事業をスタートし、その後、野球を中心とするスポーツ用品の製造に乗り出します。

ローリングス①
photo:Weston Brophy/flickr

グローブを開発したローリングス

野球用品といえばまず思い浮かぶのがグローブでしょう。
実はハフ兄弟は、ローリングス設立以前の1877年から野球用グローブを製作し販売していたそうです。
それは手のひらを革で覆うだけの単純なものでしたが、その後改良し、1886年には指先まで隠れるパッド入りグローブを開発します。
ワンハンドでのボールキャッチが可能になるこの画期的なグローブの開発を機に、兄弟はローリング社を設立することになるわけです。

1920年、セントルイス・カージナルスのビル・ドーク投手のアドバイスを受け、ローリングスは親指と人差し指の間に網(ウェブ)を張ったグローブを開発します。
現在のグローブには欠かせない要素であるこの網のおかげで、野手の捕球技術は格段に進歩。
このグローブを使った野手に、打球を取り損ねるエラーが少なかったため、たちまちプロ選手の間で普及し、野球という競技のプレースタイル自体を大きく変えることになりました。

その後もローリングスは、グローブをはじめとする野球道具に対して、大小様々な改良を加えていき、今日に続く近代的な野球の成立に多大な貢献をしています。
メジャーリーグに対しては、1977年から公式試合球を提供。
このパートナーシップによって、ブランドの信頼性はさらに強固なものとなりました。

ローリングスは野球用品の品質と革新性で知られ、過去から現在に至るまで、プロ選手からアマチュアまで幅広い層に支持されています。
例えば、ローリングスのグローブは手作業で作られており、一つひとつの製品が丁寧に仕上げられています。
こうしたこだわりが、プレイヤーのパフォーマンス向上に寄与していることが評価されています。

ローリングスが日本市場に本格的に参入したのは、1970年代後半のことです。
1976年にアシックスと業務提携を結び(2012年に提携終了)、1978年には横浜大洋ホエールズ(現:横浜DeNAベイスターズ)のオフィシャルサプライヤーとなりました。

当時、野球は日本で圧倒的な人気スポーツであり、高品質なスポーツ用品に対する需要が高まっていました。ローリングスは、その高い品質とプロ向けの製品ラインで、日本の野球選手やファンの心をつかみました。

ローリングス②
photo:woo/flickr

野球文化に深く関わってきた

ローリングスが単なるスポーツ用品メーカーではなく、野球の文化やコミュニティに深く関わり、選手たちの夢や目標をサポートする存在として知られています。
以下にいくつかその具体例を挙げていきましょう。

例えば、守備プレイを評価するための「ゴールドグラブ賞」。これはローリングスによって1957年に設立されたもので、正式名称はRawlings Gold Glove Awardといいます。
ゴールドグラブ賞は、メジャーリーグの各ポジションで最も優れた守備を見せた選手に贈られるもの。野球の守備力を評価し、選手たちの努力を認めることで、野球全体のレベルを向上させたいというローリングスの思いがあったのだそうです。
受賞選手には特別にデザインされた金色のグローブが贈られ、その美しさと象徴的な価値は、選手たちにとって非常に名誉なものとなっています。

ニューヨーク・ヤンキースの伝説的な選手、デレク・ジーターは、幼い頃からローリングスのグローブを愛用していました。
彼は幼き日に父親からローリングスのグローブをプレゼントされ、野球人生をスタートさせたのだそうです。
ジーターはプロ入り後もローリングスのグローブを愛用し続け、その使用感と品質に対する信頼を公に語っています。ジーターとローリングスの関係は、プロとメーカーの理想的なパートナーシップの一例として語り継がれています。

ローリングスはプロだけでなく、若い野球選手たちの育成にも力を入れています。特にリトルリーグとの関係は深く、長年にわたって公式サプライヤーを務めています。
また、ローリングスによる恵まれない子供たちへの支援活動も有名です。ローリングスは定期的に地域の野球教室を開催し、プロ選手と子供たちが交流する機会を提供しています。また、グローブやバットなどの野球用品を寄付することで、世界中の子供たちに野球を楽しむ機会を広げているのです。

ローリングス③
photo:Ken Lund/flickr

ローリングスを使用するプロ選手たち

現在もメジャーリーグ、そして日本のプロ野球で、数多くの選手がローリングスのグローブを使用しています。
野球の本場のメジャーリーグでは、ローリングスのシェアは54%の第一位(第二位はウィルソンの31%)。
非常に多くの選手が使っているため枚挙にいとまがありませんが、有名どころではマイク・トラウト、ブライス・ハーパー、コディ・ベリンジャー、クリスチャン・イエリッチ、アーロン・ジャッジ、ノーラン・アレナド、フランシスコ・リンドーア、ジェイコム・デグロムなどの一流選手が、ローリングスを使用しています。

国内メーカーが頑張っている日本のプロ野球界では、そこまでのシェアではありませんが、例えば以下のような有名選手がローリングスのグローブを使っているそうです。
岡本和真選手(読売巨人軍)
糸井嘉男選手(阪神タイガース 2022年引退)
小川泰弘選手(東京ヤクルトスワローズ)
秋山拓巳選手(阪神タイガース)
又吉克樹選手(中日ドラゴンズ)
福谷浩司選手(中日ドラゴンズ)
宗佑磨選手(オリックスバファローズ)

こうして調べれば調べるほど、ローリングスというメーカーの深い魅力が理解でき、ここのグローブが欲しくてたまらなくなってきました。
ローリングスのグローブは、大人用のオールラウンドな製品として知られ、とても使い勝手が良いそうなので、私のような素人でも使いこなしやすそうです。

その性能ももちろんですが、世界最古の野球用品メーカーであることや、アメリカのメジャーリーグ、日本のプロ野球の発展に寄与してきたというバックボーンが、その魅力です。
きっと持っているだけで満足できるグローブのような気がしますが、しっかりキャッチボールから始めて、日頃の運動不足を解消したいと思います。

ローリングス④
photo:Jeffrey Hayes/flickr
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