日ごと暖かさが増すにつれ、“アウトドア欲”がみなぎってくる昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか？
今回は星の数ほどあるアウトドアブランドの中から、いま激推しの北欧系ブランド、ノルディスク（NORDISK）を紹介したいと思います。

ノルディスクは、テントをはじめとするやキャンプ用品から、バッグ、ウェア、小物類まで幅広く展開する総合アウトドアブランドで、創業は1901年というかなりの老舗です。

……と聞いて「え？　そうなの？」と違和感を覚えた人もいるかもしれません。
ノルディスクは、古くからその存在がよく知られていたヨーロッパとは違い、この日本では新興ブランドと思われがちです。

でも、それも無理はありません。
ノルディスクは創業から日本初上陸までに紆余曲折の歴史があり、日本では近年になってから知名度を上げてきているブランドだからです。

ではまず、そのストーリーを追っていきましょう。

創業の地はデンマークの首都・コペンハーゲン。
食料品店を営む家庭に生まれたハンス・オベ・ランという人物が、23歳のときに設立した会社です。創業当初のノルディスク社は主に、未加工あるいは半製品のフェザーとダウン素材を卸売りする会社でした。

現在のノルディスクにつながるアウトドアギア製品を初めて開発したのは1941年。上質なダウンをふんだんに使った、世界初の封筒型寝袋でした。

そして1960年代後半、世界中の若者を巻き込んだヒッピームーブメントによって自然派思考が育まれ、アウトドア市場が拡大すると、ノルディスク社は「Caravan」というアウトドア専門ブランドを設立。
Caravanは1970〜80年代、テントやバックパック、ウェアなどを次々と展開し、世界で名の知れたアウトドアブランドへと成長していきます。

しかしノルディスク社は1990年代初頭に経営破綻。再建の過程でCaravanというブランド名は消滅し、同社の商品は「ノルディスク（NORDISK）」という自社名を冠したブランドとして細々と継続していきます。

photo:Studio Driehoek/iStock

2005年、同社を買収したデンマーク人のエリック・ヨハネス・ミューラーを中心とする新たな経営陣は、かつての「Caravan」のように世界に名だたるアウトドアブランドとするべく、ノルディスク再生の取り組みを開始します。

彼らはヨーロッパとともにアジアの市場開発に重点を置き、強力な製品開発プログラムを開始。
そして2010年、ノルディスクの製品が日本で初めて正式に販売されました。

現在も同社CEOを務めるエリックは、かつて日本で暮らしたこともある人です。彼は、日本はデンマークと同様にデザインと美しさへの情熱を持っている国で、そうした商品づくりを目指すノルディスクと非常に相性がいいと分析。
世界の中でも特に、日本をターゲットとする商品開発と販売に力をいれるようになりました。

現在のノルディスクを象徴する商品は、なんといってもテントでしょう。
2010年代の中頃から日本でも大きなトレンドとなった“グランピング”は、ノルディスクの機能的かつ美しく優雅なテントの存在なくしては語れません。
ノルディスクは日本のアウトドアファンの心をがっちりつかみ、グランピングカルチャー形成に重要な役割を果たしたのです。

ノルディスクのテントの最大の魅力は、その外観です。
スカンジナビアデザインらしいシンプルかつナチュラル、それでいてどこか人の温もりを感じさせるノルディスクのテントは、アウトドア業界に一石を投じました。

特に「アスガルド」や「Ydun Sky」といったモデルに用いられるテクニカルコットン（コットン混紡）素材は、化学繊維メインの現代のテントの常識を覆しました。

日本人がコットンの風合いを好むことに気づき、少しでも軽くコンパクト化できるように、ポリエステルを混紡したテクニカルコットンを採用したのは、エリックの大きな功績のひとつです。
テクニカルコットン素材を採用したテントはデザインが優秀なだけではなく、夏は涼しく冬は暖かく、結露が少なく、火の粉に強く耐火性が高いなどの優れた機能性を併せ持っているため、アウトドアファンから高く評価されています。

photo:MIKI Yoshihito/flickr

一方、2017年に発売されたナイロン100％のテント「ロフォテン（Lofoten）」は、このサイズとしては世界最軽量級の490gという軽さで、アウトドアファンを唸らせた逸品です。
パッキングするとサイズはわずか11×22cmとなり、こちらもまたこのサイズの２層式テントとしては世界最小級。
これまでの常識を覆したテントとして、多くのファンを魅了しています。

ほかにも、機能的かつハイグレードな芋虫型テント「オップランド」や「REISA」、クラシカルなティピー型をベースに小屋型に進化させたテント「Thrymheim」など、魅力的なテントを多数展開するノルディスク。
数多のテントが並ぶキャンプサイトでも際立つオシャレな雰囲気と、使った人だけにわかる機能性の高さに魅了される人は現在も増殖中。
リピーターも続出しているようです。

ノルディスクは、キャンプに欠かせないカトラリー類も、充実のラインナップを誇ります。
ステンレスの皿やマグ、ボトル、ボウル、カップ、コーヒーポット、チタン製のスプーン＆フォークなどなどいろいろありますが、やはり光るのはそのデザイン性の高さでしょう。
いずれも余計な装飾性を排したごくシンプルなデザインですが、真似しようと思ってもなかなかできない曲線と直線の見事なバランスで、美しい仕上がりになっています。

そのカラーリングにもご注目。
中間色をうまく使い、北欧らしい落ち着いた雰囲気のカラーが揃えられています。
また、どのカトラリーにもノルディスクのシンボルであるポーラーベア（ホッキョクグマ、シロクマ）が絶妙な配置でプリントされているのもポイント。
このロゴマークのあるノルディスクのシンプルなカトラリーは、テントサイトに並べているだけでワクワクした気分を呼び起こしてくれます。

ポーラーベアは、北欧を象徴する野生動物。
力強さとともに愛嬌や優しさ、美しさを感じられるこの動物をシンボルとしているところに、ノルディスクの真髄が表されているようです。

photo:SBTheGreenMan/iStock

そしてノルディスクの商品ラインナップの中で、強くおすすめしたいのがバッグ類です。

コンパクトサイズながら持ち手の他にハンドループもあり、キャンプ道具の持ち運びに便利な「ギアコンテナS」。

内部には3つのメッシュポケット、パッド付きの持ち手、背部にはギアを引っ掛けるためのウェビングループが付いている便利なオーガナイザー「ユグドラシルポケット」。

ショルダーとリュック2way仕様で、荷物を整理して収納するのに便利な「カールスタッド 27L ダッフル」。

上部の口が大きく開くので、物が出し入れしやすく、開閉はファスナーとドローコードの2通りで行えるので安全性も高い「コングスバーグクラシックダッフル 40L」。
などなど、アウトドアシーンに映えるうえ、機能性も抜群のアイテムが多数リリースされています。

バッグ類も中間色のカラーリングが冴え、またポーラーベアのロゴマークがポップでオシャレな雰囲気を醸し出しているので、アウトドアシーンだけではなく、普段使いにもバッチリです。

ノルディスクはその名が示す通り、北欧の風土や自然を受け継ぐブランド。豊かな自然や厳しい気候条件が育んだ北欧の文化やデザインが、ノルディスクの製品には息づいています。
北欧の風景や文化を感じながら、自然との調和を楽しむことができるのが、ブランドの大きな魅力です。

オーナーのエリックは「デザインとは外観だけではなく、使いやすく、革新的であり、高度な機能を持ち、環境に配慮して作られた製品であること」を表現するための手段であり、ノルディスクのブランド活動を通じて最大の役割を担うものだと語っています。
そうした哲学に裏打ちされた、持っているだけでワクワクしてくるノルディスクのアイテムを、今年のアウトドア活動のお供としてみてはいかがでしょうか？

駆け足で紹介してきましたが、ノルディスクの魅力がご理解いただけたでしょうか？
スニーカーというアイテムをアップデートし、現在に続くスニーカーカルチャーを形成したノルディスクシリーズを、是非ワードローブに加えてみてください。

photo:AngelaBuserPhoto/iStock