#12 軽量で頼りになる旅の相棒、キャビンゼロバッグ
キャビンゼロ看板

2024.3.6

軽量で頼りになる旅の相棒、
キャビンゼロバッグ

佐藤 誠二朗さんメンズファッション誌
「smart」元編集長
佐藤 誠二朗さん

メンズ雑誌「smart」をはじめ、これまで多数の編集・著作物を手掛けている佐藤さん。
2018年11月には「ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新」が発売。
こちらを本屋で見かけて読まれた方もいるのでは!?
そんな佐藤さんが当店の取り扱いアイテムをコラムで熱く語ってくれるコーナーです!
実はあまり知られていないブランドの歴史などもこれを見れば知ることができるかも!?

バックパッカー心をくすぐるCABINZERO

のっけから私ごとで恐縮ですが、先日、7泊8日の日程でタイに行ってきました。
私はもともと大の旅好き。にもかかわらず、実に5年ぶりの海外旅行です。
ご多分に洩れずコロナ禍、そしてコロナ明け以降の円安状況のため、なかなか踏み出せなかったのですが、今回は万難を排して旅立ち、久しぶりに海外の空気を満喫してきました。

1969年生まれの私は、青春時代まっただ中の1986年に第一巻と第二巻、1992年に第三巻が発売された、沢木耕太郎による紀行小説の傑作『深夜特急』に思い切り影響を受けた世代。
海外へ行くなら小さな荷物を一つ持ち、予算を最小限に切り詰めて旅する、いわゆる“バックパッカー”スタイルに強い憧れ感を持っていましたし、実際に若い頃は幾度もそのような旅を体験しました。

妻も子もいる現在では、なかなかそんな旅をすることも叶わなくなりましたが、今も頭の片隅にはバックパッカー願望が根強く残っていて、いつか状況が許すようになったら、再びバックパック一つを背負って、海外一人旅などしたいと思っています。
「子供も手を離れたし、ちょっと世界一周でもしてくるわ」という具合いに。
今回のタイ旅行ではバンコクの街の喧騒に包まれて、その思いをより強くしました。

そんな哀しき“中年エアバックパッカー”の私ですが、もしも再び世界を身軽に旅できるようになったら、こんなのを持って行きたいなと考えているバッグがあります。
それが今回ご紹介する、CABINZEROのバックパックです。

イギリス生まれのCABINZEROは、2012年にスタートした新興バッグブランドなので、耳なじみのないという人も多いでしょう。
また旅好きの人なら、ここのところ海外の旅行者がよく背負っている、シンプルながらかっこよくて使い勝手もよさそうなCABINZEROのバックパックが、前からなんとなく気になっていたかもしれません。

キャビンゼロ①
photo:Christian Haugen/flickr

バックパッカー出身の創業者

そこでまず、CABINZEROというブランドとは何なのかから見ていくことにしましょう。

ブランドの創業者兼CEOは、ニール・ヴァーデンというイギリス人です。
彼は大学を卒業したばかりの1993年、「自分探し」のために旅立ちます。
日本ではバブルが崩壊していたその頃、ニールの母国であるイギリスも景気が大きく後退し、新卒者がまともな仕事を見つけるのは困難な状況でした。
それで彼はパスポートを手にし、大きなバッグを背負ってインドへと出発。
インドに行きさえすれば、人生が変わるかもしれないと考えたそうです。

蛇足ですが筆者である私も、バブル崩壊直後の1993年に大学を卒業している、就職氷河期第一期生ですので、なんだかこのニール・ヴァーデンという人の気持ちがよくわかります。

しかしそんな彼の最初のインド行は、あまり満足いくものではなかったようです。
その理由についてニールは後に、「率直に言って、バッグが最悪でした。持っていた巨大なサイズのバッグは、私には役立ちませんでした。品質も悪く、旅するうちにボロボロになってしまったのです」と語っています。

インドへの二度目の旅行の際、彼は前のものよりも小さい別のバッグを持っていきますが、やはり一度目と同じようなことが起こりました。
そのバッグは決して安物ではなかったそうですが、過酷なインド旅ではその役割を十分に果たすことができなかったのです。

実用的ではないうえに図体ばかり大きなバッグを持ち歩くことにうんざりした彼は、3回目のインド旅行では、荷物を機内持ち込み可能なサイズにまで縮小しました。これによって大きな開放感を得ることができたといいます。
預け荷物がないためチェックイン時間を節約でき、フライト前のビールを飲む時間が増えたことも、彼の喜びとなったそうです。

そんな経験を活かし、自分で納得のいく旅行バッグを作ってみよう! そう思ってすぐにCABINZEROを立ち上げた……というわけではないところが、彼の面白いところ。

バックパッカー時代を経た彼は、まずIT業界に職を得るのです。
時代の花形であるITビジネスパーソンとして、バリバリと働きながら、彼はあるときふと気づきます。
手頃な価格で高品質な機内持ち込み用バッグの市場には、需要と供給に大きなギャップがあるのではないかということに……。

キャビンゼロ②
photo:Jordan Fischer/flickr

CABINZEROのバッグに入れたいもの

その当時、格安航空会社(いわゆるLCC)のビジネスが成長しており、新興航空会社はチケット代を安くする代わりに、預け入れ荷物に対して料金を請求していました。
そんな状況を受けてバックパッカー時代の思い出が蘇った彼は、機内持ち込み可能なサイズのバッグを求め、イギリスとアジアのショップを探し回りますが、納得のいくようなバックパックが存在しないことにすぐに気づいたそうです。

そこで彼は、軽量かつ高品質、そして手荷物として機内持ち込み可能な小型バッグに商機があるとにらみます。
時代に即したビジネスチャンスのひらめきは、彼が生馬の目を抜くIT業界で働いてきたからこそ培われたものかもしれません。

そしてニールは、2010年にCABINZERO社を立ち上げます。
最初の課題は、安定した品質と手頃な価格でバッグを生産できる、優れた工場を見つけることでした。
そして中国とベトナムの工場と契約を交わし、2012 年 7 月、CABINZEROブランドの最初の商品、機内持ち込みサイズの2ウェイバックパックが出荷されたというわけです。

そんなCABINZEROのバッグの中から、おすすめの2モデルを紹介します。
まずは「CLASSIC」、ベーシックでシンプル極まりない、CABINZEROの真髄を象徴するようなモデルです。
サイズは44L、36L、28Lと自分の旅スタイルや旅の長さに合わせて三段階が用意されています。
カラーバリエーションも豊富で、44Lモデルは15色、36Lモデルは12色、28Lモデルは14色がラインナップされています。

【キャビンゼロ】
【キャビンゼロ】
【キャビンゼロ】
【キャビンゼロ】
【キャビンゼロ】

メインコンパートメント以外に、フロントにはチャック付きの大きめポケットを搭載。用途に合わせて綺麗に収納できるインナーポケットもチャック付きが2つ、出し入れ口がゴム式の大きなサイズのポケットが一つ付いています。
私だったらメインコンパートメントにはかさばる洋服を中心に収納。
インナーのゴム式ポケットにはパソコンやタブレットを入れておきます。

出し入れしやすいゴム式ポケットにパソコンやタブレットを入れるのは、保安検査場や機内で使いたい時などにすぐ取り出せるようにです。
インナーの小さなポケットの一つには洗面道具や薬類、もう一つには充電器やコードなど、細々したものを分けて入れるようにします。

そしてフロントのポケットにはがガイドブックや地図、天候に合わせてパッと脱ぎ着したいアウターやサングラスなど、機内や旅の途中ですぐに取り出したいものを入れるようにします。

キャビンゼロ③
photo: Esmée Winnubst/flickr

CABINZEROを背負っていつか旅へ

何だかこうやってバッグに入れるものを考えているだけで、少し旅気分を味わえて楽しいですね〜。

そしてCABINZEROもう一つのおすすめモデルが「MILITARY」。
フロントに、ウェビングベルトを利用して小物を簡単に取り付けられる米軍採用の装備、モール(MOLLE)システムを備えた、タクティカル感あふれるモデルです。

【キャビンゼロ】
【キャビンゼロ】
【キャビンゼロ】
【キャビンゼロ】
【キャビンゼロ】

フロントやインナーのポケットの仕様は「CLASSIC」と同じですが、このモデルの利点はやはりモールシステムを採用していることにあるので、これを利用しない手はありません。カラビナを使ってウェビングベルトにステンレスのマグカップや帽子などをぶら下げると便利ですし、バックパッカー気分がより高まりそうです。
海外の治安の悪い街などではお勧めできませんが、国内をはじめとする安全な街では、カメラやヘッドフォンなど、嵩張るけどすぐに取り出したいものを取り付けておくのも便利そうです。
このモデルは、サイドにペットボトルや水筒を入れておくのにちょうどいいポケットも施されているので、街歩きをする際にはより利便性があります。

これらのCABINZEROのバッグパックにはいずれも、バッグごと紛失してしまった際、見つかり次第、登録者に連絡がはいるOkoban(グローバル落し物発見連絡サービス)というシステムが搭載されています。
また、メインコンパートメントは南京錠などで施錠できる仕様(※鍵は別売り)なので、何が起こるかわからない海外旅行には、本当に安心できます。

この原稿を書いているだけで、本当にバックパッカー気分が高揚している私です。
一つ選ぶとしたら「MILITARY」の44Lモデルのネイビー。
これを背負って、ユーラシア大陸横断一人旅をしている未来の自分を、ついつい想像したりしてしうまうのです。

キャビンゼロ④
photo:Jon Wick/flickr

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